空の大きさ
どうしたのかと思って先輩の視線を辿ると、
「正明、準備運動できてるんだよね?」
あの、目が笑ってない笑顔でそこに矢野先輩が立っていた。
「た、貴志...あ、当たり前だろ?これから...もう一回...念のために運動してくる...」
そう言って平田先輩は一目散に逃げて行った。
そんな平田先輩を見て、
「あの馬鹿」
矢野先輩はそんな一言をぼそりと呟く。
そして、くるりと方向を変えて俺の方を向く。
「桐島は今日もまだ見学?」
「あ、はい、まだ腕が治らないんで...」
「そっか、残念だね」
なんで先輩がそう言うのかが分からない。