空の大きさ
男ならここで手でも繋ぐんだろうけど、俺には無理だった。
さっき言った台詞だけでいっぱいいっぱいなのに、ここで手を繋いだら自分の感情を押さえれなくなってしまう。
だから俺たちは腕が触りそうで触らない距離で歩いた。
それから俺たちはくじら公園を出て、駅まで歩いた。
そこの駅からキッズプレイスに着くまで大体45分ぐらいかかる。
普段ならその交通時間は苦痛でしかないはずなのに、今日は...楽しい。
健吾といてもめんどくさいだけなのに、隣にいる人が違うだけで俺の中の感情もこんなにも違う。
「...あのさ」
1人物思いにふけていると電車で俺の隣に座っている堀内が話しかけて来た。
「ん?」
中々続きを言い出せない堀内を促すように目を見て促す。
そんな俺の目をじっと見たまま少し不安そうな顔をしていた堀内だったけど結局帰って来たのは
「...やっぱなんでもない」
だけだった。
「そう?」
「うん」
煮え切らない堀内はあんまり見ないけど、でも俺は待つと決めたからには、とことん待つ。
堀内から話してくれるのを。