空の大きさ


「あたしと勇ちゃんはお互いしか知らなくて小さかったから、それを”恋”と勘違いしたの」


俺にはこの話のエンディングが全く見えてこない。



「勇ちゃんって呼ぶ事を特別だと思っていたし、勇ちゃんにあおって呼ばれる事も特別だと思ってた」



確かにさっき矢野弟はあおって呼んでた。



「ほら、あたしの名前、感じで書くと青空でしょ?」



そう言って地面に漢字を書いた。



「初めて会ったのがこの公園だったの」


ちょっと嬉しそうに言うことに心が痛むのは今は無視することにした。


「あたしも勇ちゃんもお母さんと一緒にいて、自己紹介する時にあたしは習ったばっかりの漢字を地面に書いた」


「勇ちゃんはもちろん漢字知らなくて、お母さんになんて読むのって聞いてた」


「勇ちゃんママはあおぞらってみんなと同じ様に読んで、『じゃああおちゃんだ』って勇ちゃんは言ったのね」



やっぱり普通の人はそう読むよな。



「はるだよって教えてあげたんだけど、結局それからあおって定着しちゃって今でもあおって呼ばれるようになったの」



歴史を知らされるのは胸が痛い。


俺にはない、堀内との過去。




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