空の大きさ
廊下へ走り出すあたしに声を掛けてくる人はいない。
まるであたしが透明人間かの様にあたしは誰の視界にも入らない。
あたしには、友達がいない。
でもそれでも毎日やっていけたのは勇ちゃんがいたから。
「お待たせ」
「今日はどっか寄る?」
「ううん、勉強しようよ」
受験生だしね。
そんなあたしを優しい目で見てくれるのは勇ちゃんだけ。
あたしの手を引いてくれるのも勇ちゃんだけ。
あたしの世界は勇ちゃんでいっぱいだった。