空の大きさ


勇ちゃんの部屋に入って机を挟んであたちたちは座った。


「今日は何の勉強?」


「数学!勇ちゃん得意でしょ?教えてね」


はは、と笑って勇ちゃんとあたしは勉強を始めた。


時折集中が切れてあたしはノートから勇ちゃんへと視線を向ける。




本当にかっこいいな、勇ちゃんは。


こんな幼なじみがいてあたしはとてもラッキーだと思う。


とてもラッキーなのに...


この満たされない心はどうしてだろう。


勇ちゃんが側にいてくれて嬉しいのに、


たまにとても寂しくなる。


勇ちゃんにも埋めない心の穴は誰か違う人が埋めてくれるの?




「ん?」


あたしの視線に気付いて勇ちゃんも顔をあげる。


「んん、なんでもない」


そう言ってあたしはまたノートに視線を戻す。



解決されないモヤモヤ感も一緒に。



< 209 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop