空の大きさ
前に姉ちゃんにも同じ質問をされて真面目に答えたら笑われた。
まだ傷つきやすい中学生だった俺はそれ以来この質問を適当にあしらっている。
なんだよそれ、と笑いながら俺たちはグランドに戻った。
「桐島、どうだ?」
そう聞いて来たのは先輩でキャプテンの矢野貴志(やのたかし)。
「一応右腕なんでキャッチャーとしては一応大丈夫だと思うんですけど」
そうは言ってもやっぱり痛いものは痛い。
「まあ、今年は俺らがいるからどうせお前らが前線出るのはまだまだだけど?」
嫌味ったらしくそう言ってくるのは矢野先輩とバッテリーを組んでいるキャッチャーの平田正明(ひらたまさあき)先輩。
「そういうことだな」
爽やかなな笑顔でそう答える矢野先輩といい、俺らの先輩方は意地悪だ。