この想い届け

*放課後勉強会




「図書室ってこっちだっけ?」


大地くんは廊下をまっすぐ指さした。


「いや・・・
 この階段上がってまっすぐ行った所だよ」
と右をさしながら言った。


「ああ、こっちだったか。
 俺この学校入学してから、1回も図書室行ってねぇから場所知らなかったわ(笑」


「でも大地くんが図書室でやろう、て提案したよね?」

ぷぷぷ、と笑いながらあたしは言った。


「まぁ、あれだな、
 勉強っつったら図書室だろ。
 つか笑うなよー」


「笑ってないよー?」


なんて他愛もない話をしながら階段を上り、廊下を歩く。


初めて緊張せず話せたかもしれない。

話しててすごく楽しい!

テストまでの1週間、
ちゃんとできるか不安だったけど
この調子なら大丈夫かもしれないっ!



「ギャハハハハハ!」


廊下に響きわたる笑い声。


あ・・・

ここって3年生のクラスだ。

よく放課後にギャルがクラスに残って話してるのを知ってたから、あまりこの道は使わないようにしてたのに・・・

でも図書室に行くには、この道が1番近い。

これから1週間毎日この道通るのかぁ・・・


「はぁ・・・」


「ん? どうした?」とあたしの顔を覗き込んでくる。


「え?」


「いや、ため息ついてるからさ」


・・・ええええええっ!?

あたし今心の中でため息ついたのに、
声に出しちゃってたのかっ!

あたしバカかっ!


「なんでもないよっ!」


「ん、そうか。 ならいい」


ちょっとしたことでも心配してくれる大地くん。

他の男子だったら、今の完全無視だろうな。

いや、可愛い子だったら別だよ?

地味女に優しくしてくれる男子なんて、
まぁ、滅多にいないから(笑



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