『約束』、
「…………んでだよ……何で過去形なんだよ……。」

上島はようやく

失ってた言葉を発した。

「この広い世界で人は何千何万の人々に会う…、出会いがあるなら人に特別な感情を持つのはあたりまえよ。あなたが今日何を得、何を失ったか…それを見つけるにはまた新たな出会いを見つけるしかないわね。」

前田由香は目を細めて、

廊下から見える空を見た。

「…そういうお前は今日何を得たんだ?」

「…クラスメイトよ。」

「そのクラスメイトさんはお前にとって…お前等にとってどんな存在なんだよ?」

「どうやら付け足し忘れのようね…。『かけがえのない存在』かしら。」

「ちっくしょぉぉ…。」

上島は床にベッタリ座り込み、

征服のズボンをくしゃっと掴んだ。

 
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