『約束』、
「中学になっても、朝の約束は守ろうね!」

「……っ!」

「中学離れても、『会いたい』って思えばいつでも会えるんだよ!確かに私達は吹雪に何一つ言わず、受験した!吹雪はこの事実を分かってくれるって信じてたから…!」

「……。」

何も言えない。

私は走る足を止め、

麻奈の言葉を聞く。

「信じて、待ってるから!中学校入学式当日!つばさ公園に朝7時30分!ずっとずっと待ってるから!約束!」

そう言って麻奈は

目を大粒の涙で

いっぱいにして

小指を空に突き出した。

涙が止まらなかった。

皆が私の知らない間に

受験していたという

事実よりも、

この現実から逃げ出そうと

していた私を、

信じて待ってると

言ってくれた事に………

だったらもう、道は1つしかない。


私も、皆を信じよう。

仲間……いや、

かけがえのない

分かり合える友達を……、

私は黙って

小指を空に突き立てた。


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