終電、



ひとつのダンボールをあけると、たくさんの写真が入っていた。



「あれ、私写真なんて持ってきたっけ?」

「あ、それ私!」


玄関のほうでダンボールの中の食器を整理していた姉が言う。



「志穂が寂しくないように。適当に選んじゃったけど。」


「…ありがと。」



写真の中には、赤ちゃんの私がおじいちゃんに抱っこされてる写真、幼なじみと手をつないで小学校へ登校している写真、高校の卒業式で泣いてる写真があった。




そして、いちばん思い入れのある写真。



中学の体育祭で先生にとってもらった親友との写真。

なんでもない写真だけど、私たちの笑顔のうしろに、少しピンぼけしたいたずらな笑顔。


それが、佐伯。


私が、本気で好きになった元彼。






懐かしくて、一緒に入っていたシンプルな写真たてにいれて飾った。







私、頑張れるよね。





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