終電、





家族が帰ったあと、部屋を見回した。




憧れてた一人暮らし。
茶と白で統一された女の子らしい部屋。



なんだか、そのすべてが意味のないものに思えた。




初めて染めた茶色の髪も。

初めてかけた緩いパーマも。

明日の入学式のための新品のスーツさえも。





きっと不安だったのだと思う。
毎日帰ると家族がいて、学校であったことを話して。


だけど、簡単には会えない距離。
まだ1人もいない友達。


都会に住むなんて思ってもいなかった。


そして、これから自分に何が起こるかなんて予想もできなかったんだ。





寂しさをかき消すように、布団を頭までかぶって、半ば無理矢理眠った。





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