終電、
「じゃあ浩介んちで二次会しようぜ!」
四年生たちはそれぞれ浩介さんちに向かって歩き出してる。
一年生たちもそれぞれ帰りだしてる。
…私も帰るか。
「里佳ばいばーい!」
「あ、ばいばい!」
みんなの家とは違う方向にある自分の家。
里佳と別れて1人で歩き出した。
「おいっ」
5分も歩かないうちに、うしろから声をかけられた。
振り向かなくてもわかる、この声。
「…修さん。」
「1人で帰るなよばか!暗いし酒はいってるんだからあぶねえだろうが。」
怒っているはずなのに優しい声、顔。
「あ、ごめんなさい。」
「ん。」
そして2人で歩き出した。
「…寒いのにすいません。」
薄着の修さんに声をかけた。
「ん、俺が勝手にやったことだし。」
「…はい。」
「あ、でもいっこだけ言うこと聞いてもらおうかな。」
「へ?」
気づいたときにはもう、修さんに腕を引っ張られて、家と違う方向に向かっていた。
「しゅ…修さん!?」
修さんは何も言わないまま歩き続けて、気づいたら公園についていた。
「…あと3分なんだよ」
ベンチに座りながら修さんは言った。
私も隣に座る。
「俺の誕生日。」
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