終電、
会話がないまま10分くらい経ったとき、修さんが頭を上げた。
「そろそろ戻るかな。」
「は、はい」
「あ、沖から誕生日おめでとうメールきてる。うける。」
修さんは携帯の画面を見ながら言った。
「え、じゃあ一番最初にめーるくれたの沖さんですか?」
私がおもしろそうに言うと
「ちげーよ。」
少し冷たく言われた。
ああ、そっか。
一番は彼女さん…だよね。
ふとしたとき現実に引き戻される感覚。
私は何を期待していたんだろう。
下を向いていた私に気づいて、修さんは私の頭をぽんぽんした。
「GW、お前いないから寂しかった。
また、お前んち行くから。」
「…はい。」
断れなかった理由。
気づいたけど知らないふりしたかった。
私、修さんのこと…。
修さんがアパートの下まで送ってくれて別れたあと、私は急いで家に入った。
私がいないと寂しい?
またうちに来る?
はっきりしてよ…
その日は眠れなかった。
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