戦国時代×現代 ―タイムスリップの先は、月の兜―
「わ、ちょっと見てよコレ!すっごい・・・・」
優香が嬉しそうに展示物ギリギリに近づく。
もちろん歴史については必要最低限しか知らない私は、展示物を見てもどういう歴史があったのかは詳しく分からないわけで・・・。
「・・・そろそろ戻ろっか?」
「えぇ、早いよ桜ぁ・・・・もうちょっとだけ、ね?」
「・・・・・・うん」
優香が興奮しながらよくわからない鎧を見ているのを遠目で見ながら、私は適当に歩いていた。
これ、なんだろ。
なんとなく近寄って見てみると、どうやら兜らしい物だった。
・・・なんか付いてる。
兜の正面にくっついてる謎の飾りに、無意識の内に私は手を伸ばしていた。
・・・・・・・・・・月?
「あぁっ!桜、触れちゃだめだよ?」
「えっ・・・あぁ、そうだね・・・」
私ってば、手なんか伸ばしてたんだ・・・・!
今まで散々優香に言ってきた言葉を、優香に言われてしまった・・・・。
でも・・・なんでだろ・・・・。
まるで、吸い寄せられるみたいに・・・。
「それ、伊達政宗の兜だね」
いきなりの優香の言葉にビックリしながら、伊達政宗ってどんな人だっけと考えた。
・・・・もちろん、歴史どころか社会自体が苦手分野の私にはあまり情報はなく、結局「昔の人」という結論になったんだけど。
「伊達政宗・・・会ってみたいなぁ・・・」
「・・・・は?何言ってんの、優香・・・」
振り返ってみると、うっとりとした顔の優香が居た。
その目線の先は、私でも他の展示物でもなく、さっきの兜があった。
・・・・・・会ってみたいって、歴史上の人・・・でしょ。