Strawberry & Lilychain

「こんな朝早くに来るのはお前ぐらいだからな。それで、用件は?」





面と向かって話すのは何年ぶりだろう。








今ならわかる。





こんなに近くにいても、目の前にいても。





お父さんの目に私は映っていない…。











「うん。私、寮に入ることにしたの。だから書類に判子押してもらいたいなって。それからウチにある荷物も…」



「そうか。荷物は業者を呼んで運ばせる。判子を押せばいいんだな?」



「うん」



「それから寮費はいくらだ?」



「大丈夫。学費と同じで奨学金が出るから今までと変わらないよ」



「じゃあ今まで通りの金額を振り込んどけばいいのか?」



「うん。それでいいよ。後は私がバイトとかするから」

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