ちっちゃな体のおっきな愛

窓越しに差し込む夕日が、逆光になって、とても綺麗だった。

 「お前、ここに来てから、ずっと笑わなかったから。…ずっと、不安そうな顔してただろ。」

あ、そういえば…。

 「そ、れは…あたしの、せいだし…。」

 「はい、やめっ!」

パンっと、あたしの顔の前で、両手をたたいた。

 「今から、あたしのせい。は、なしな。もう、なっちまったもんは仕方ないし。…それに…。」

連は、急に夕日の差し込む、窓際を見た。

 「あの時、無意識で、手が伸びた。お前がけがしたらいけねーと思ったから。…お前がけがするより、ずっとマシ。」

 (何で…?何でそんなに…優しいの…?)

相変わらず向こうを向いてる、広くて大きな背中。

その大きな背中も、ぶっきらぼうな優しさも、時々見せる、無邪気な笑顔も、全部…好き。

あなたの全てが愛しい。

連の後ろ姿を見つめてたら、抱きしめたくなってきた。

思わず、手が伸びる。

 「…もう、暗くなってきたなぁ。」

その一言で、あたしは我に返って、手を引っ込めた。

 (あ、あたし…今、何しようと…!!)

 「そ、そうだね。もう、帰らなきゃ…。」

あたしは、連の顔が見れなくて、足早に立ち去った。

 「ごめんね、ホントに…。病院、行ってね??」

そう言って、保健室を出ようとした。

 「…おい、待てよ。」

急に腕を強く、掴まれた。

ものすごい、力で。

 「いたっ…。」

 「わりぃ…。つーか、もう遅いじゃん。ちゃんと送ってくし…。」

 「え、そんな良いってば…。それに!こんなだけど、あたしもう子供じゃないし!」

バリバリ女子高生だよ!?

もうガキじゃないんだよ??

 「ばーか。…ガキじゃねぇから…あぶねぇんだろ…。」

 「え?」

 「お前みたいなやつは、すぐ悪い奴に襲われるんだよ。…それに。」

 「それに??」

 「お前を一人になんて…出来ねぇよ…。」

え…?

そ、それって、どういうこと…?
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