ちっちゃな体のおっきな愛
「お前が一人になると、迷子になんだろ?」
そう言って、連はちょっといたずらっぽく笑った。
(何だ、そういうことか…。)
一瞬で、力が抜ける。
「いいから、着替えて来い。もう、暗いから、早く帰んねぇとやべーし。」
「うん。」
あたしは、いったん更衣室に戻った。
スカートの中の携帯を見ると、新着メールが2件来てた。
「お母さん…。」
帰りが遅いのを心配して、お母さんがメールをくれてた。
もう一人は、愛莉だった。
これも、帰りを心配するメール。
あたし、みんなに心配されてんなぁ…。
2人にメールを返して、あたしは連のもとへ急いだ。
「行くか…。」
連は、少し足を引きずるようにして歩いている。
「連、カバン、持とうか…?」
「や、いいよ。」
「じゃあ、あたしに掴まる?」
そう言ったら、急に連が吹き出した。
「ブッ!!…はは、お前に掴まるって、もっと疲れるよ!!」
「え?」
あぁ、身長差がでかすぎてね…。
並んでみると、その差にまた驚く。
「じゃあせめて…ゆっくり歩こ?…あたしは、大丈夫だし。それに、あたしのいつもの速度が、連にとってはゆっくりでしょ?」
「…そうだな。お前、ちっせぇもんな。」
チビ扱いされるのは嫌だけど、連からだけは嫌じゃないな。
むしろ、嬉しい…かも?
あたしも、大概オカシイな…。