ちっちゃな体のおっきな愛

 「お前が一人になると、迷子になんだろ?」

そう言って、連はちょっといたずらっぽく笑った。

 (何だ、そういうことか…。)

一瞬で、力が抜ける。

 「いいから、着替えて来い。もう、暗いから、早く帰んねぇとやべーし。」

 「うん。」

あたしは、いったん更衣室に戻った。

スカートの中の携帯を見ると、新着メールが2件来てた。

 「お母さん…。」

帰りが遅いのを心配して、お母さんがメールをくれてた。

もう一人は、愛莉だった。

これも、帰りを心配するメール。

あたし、みんなに心配されてんなぁ…。

2人にメールを返して、あたしは連のもとへ急いだ。

 「行くか…。」

連は、少し足を引きずるようにして歩いている。

 「連、カバン、持とうか…?」

 「や、いいよ。」

 「じゃあ、あたしに掴まる?」

そう言ったら、急に連が吹き出した。

 「ブッ!!…はは、お前に掴まるって、もっと疲れるよ!!」

 「え?」

あぁ、身長差がでかすぎてね…。

並んでみると、その差にまた驚く。

 「じゃあせめて…ゆっくり歩こ?…あたしは、大丈夫だし。それに、あたしのいつもの速度が、連にとってはゆっくりでしょ?」

 「…そうだな。お前、ちっせぇもんな。」

チビ扱いされるのは嫌だけど、連からだけは嫌じゃないな。

むしろ、嬉しい…かも?

あたしも、大概オカシイな…。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop