やっぱり好きだった
そんなある日に、紗月から電話が掛かってきた。
内容は今すぐ会いたいだった。
俺は紗月を迎えに行き、俺の家に連れてきた。
紗月の表情を読み取ることはできなかった。
ただ、雰囲気がいつもと違うのは分かっていた。
「翔は一体誰が好きなの?」
突然言われた。
でも紗月の目は真剣で、俺は素直に言った。
「…華夜が好きだ」
俺は紗月に頬を叩かれた。
泣きながら紗月は言った。
「本当は分かってた。それでも私は翔が好きだった。でも私が翔を振ってあげる!その代わり、華夜を泣かしたら絶対に許さないからね!」
そう言って最後には笑っていた。
俺は最低だ。
最初から分かっていたことなのに、それでも紗月と付き合った俺。
それでも紗月は知らないフリをしていた。
俺は最後に言った。
「紗月…好きだった」
そう言えば紗月は“ありがとう”と言ってくれた。
これは嘘でもなんでもない。
好きじゃなかったら付き合っていなかった。
だから…“ありがとう”。