やっぱり好きだった











忘れる?


なんで忘れなきゃならないんだ。





「どこの誰か分からないんでしょ!」



毎日のようにしつこく言ってくる紗月。


俺が、忘れられないとかいろいろ言っても引かない。





…だから折れてしまったんだ。







「わかった。でも俺はまだ…」

「少しずつでいいから」




そう言って笑った紗月は確かに可愛かった。






言えば利用しているのと同じ。



でも、少しでも彼女に近づけた。


それだけは嬉しかった。











それからだった。




駅で本当に偶然にも彼女とぶつかったのは…。







目が合ったとき、時が止まったかのようだった。



でも、俺はもう彼女がいる。





すごく後悔したんだ。








そのぶつかったのがきっかけで、たまにホームで話すようになった。










彼女の名前は木下華夜。



おばあちゃんの家がこっちらしくて、よく来るらしい。







話していると、本当に優しくてクールだけどすごく可愛くて、ズルイって思った。





たまに見せる笑顔にどんどん惹かれる。



隣にいるだけで鼓動が止まらない。























< 5 / 49 >

この作品をシェア

pagetop