君の音色
「あっちぃ…
いや 暑いって言うか蒸すな 蒸す」
自転車に跨がりアイスをくわえながら独り言のように呟く。
「でも 夜だからまだマシじゃない? これが昼だったら蒸すレベルじゃないって」
そう言いしゃがんでアイスを食べている のん。
聞いていないと思っていたのにしっかり聞いていたようだ。
「確かに」
「俺はこれに賭けるっ 頼むぞコウ」
のんと笑いあっているとコンビニから祈るようにアイスの袋を持ちながら、漸く出てきた男2人。
「何で 俺なんだよ」
呆れた顔をして俺は食べ終わったアイスのゴミを目の前にあるゴミ箱へと捨てる。
勿論 自転車から降りないで。
「いつもの事だって
名前に〝神〟って漢字が入ってるからだろ?
コウにとっては迷惑だっつーの!!」
そう言うと誠二はアイスの袋を開けようとしている、ワンの頭をバシッと叩く。
「いっ!! あっうおっ!?あっぶねえー… おいっ!あと少しでアイス落とすとこだったぞ!!
てか 人の頭殴るなっ」
隣にいる誠二を睨み付けるワン。
そこにアイスを食べ終わった のんが立ち上がり2人の側まで行き話に加わる。
「誠二 ワンを殴らない方がいいと思う」