君の音色
誠二に聞かれ後ろを振り向き、言われたとおりその方向を見ると固まってしまったワン。
「………………」
固まっているワンに俺達の視線が集まる。
「…何? 図星?」
「うるせえ!! とっとと帰れっ!!」
そう言うと、ワンは恥ずかしそうに早足で帰っていった。
「さすが ワンだな
おんもしれー!!」
「たまには 優しくしないとワンイジケちゃうよ?」
「大丈夫だべ
んじゃ 俺ここだから
のん気を付けて帰れよー?」
自転車のペダルに足をかけ 後ろにいる2人に声をかけ漕ぎ始める。
「そっちもねー」
「自転車で事故んなよー?」
返事の代わりに左手を上げた。
これが俺のいつもの日常。
いつものように学校行って
いつものように予備校行って
いつものように寄り道して
そんなありふれた毎日。
けど、後半年とちょっとでそんな日常も新しく変わってしまう
あの3人といると楽しくてそう考えると少し寂しく思うのも事実だ
「って 柄にもなく浸っちゃったよ…」
キキッー
「…空耳か?まあいいや
やっぱ海の近くは涼しいなー」
ぁ…………あ
「えっ?」
岩場の方からか?
「………………」