5時まで待てないッ!
席を探して店内をぐるっと見渡すと、カウンター席の隅っこに見覚えのある背中があった。
きれいに皮から出した枝豆を、また皮に戻している。
「恭介!!」
「~~~ッ!!!!!」
バシンッと背中を叩くと、つまんでいた枝豆を握り潰してしまった。
倉田恭介。
御蔵玩具の製品開発部で働く、樹の同僚だ。
「なんだよいきなり!!」
恭介は、キッと樹を睨みつけた。
豆を持ったその姿は、小動物が威嚇をしているようだ。
「ごめんごめん、隣いいか?」
樹は返事を待たずに席につくと、とりあえず生ビールを注文した。