5時まで待てないッ!



誰も居なくなったオフィスの窓辺で、砂糖とミルクのたっぷり入った甘いコーヒーを飲む。


仕事終わりの、樹の日課だ。


「はぁ…」


窓の向こうの夕焼けを眺めながら、浅く溜め息をついた。


大手おもちゃメーカー御蔵玩具の製品開発部で働く樹は、最近スランプだ。


おもちゃのアイデアが浮かばない。


浮かんでも、制作コストを抑えられない。


だからといって、妥協はしたくない。


…その繰り返しだ。



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