5時まで待てないッ!
ガチャッ
「!!」
不意にドアが開いた。
「…部長」
オフィスに入ってきたのは、製品開発部の部長である沖田和尋だ。
「なんだ樹、まだいたのか」
和尋はパチンと電気を点けると、自分のデスクの引き出しをあさりはじめた。
A型だが大雑把で、彼のデスクは常に荒れている。
「何か探しに戻って来たんですか?」
「…あぁ、一昨年の新作発表会の書類をな」
年に3回、全部で4つある製品開発部が集まって、新作発表会をする。
そこで評価されれば、今後の制作コストを上げてもらえるのだ。
今回は、樹がその新作を考えなければならなくなった。
樹の熱心な仕事ぶりを見て、和尋が抜擢したのだ。