ゴメン、スキ。
すると、その男は
あたしの顔を見て笑った。
「あ…」
少しだけ、ほんの一瞬。
あたしに似てると思った。
「それじゃあ、そろそろ」
そう言って男は席を立った。
「元気でな、杪」
そう言ってレジで精算を済ませ、こっちを向いて軽く頭を下げると去っていった。
その後、あたしも光志も
すぐにファミレスから出た。
だけど、あたしたちは
行く場所も決めず
ただ、歩くだけだった。
「第一印象、どうだった?」
あたしはふと、光志に話かける。
「ん?あぁ、優しそうなおっちゃんて感じ。 杪の第一印象は?」
「…激しくハゲ散らかしたジジイ」
「おいおい」
光志は軽く呆れた顔をした。
「でも…」
あたしがそう続けると、
光志はあたしの頭の上に
手を乗せる。
「会えてよかった?」
「……うん」
うん。会えてよかった。