宵闇
妄想愛。
アタシは彼が好きだ。

と同時に憎しみのかんじょうを抱いている。

いつも彼は蔑んだ目でアタシを見る。

哀しいのも憎いのもあるけど、それでもアタシは彼が好きなのだ。

家に帰るとソファーに横たわり、想像し始める。

というより妄想だ。

まず、大きな冷凍庫を買う。

彼を殺めてその大きな冷凍庫ケースに保存するのだ。

冷たい彼。蔑んで見ていた彼。

それでもいい。今度は自分だけの彼になるのだから。

ベットの横に冷凍庫ケースを置き、一緒に眠る。、

食事も二人分作り、ワインをあける。

彼は食べることはもうできないから唇にワインをそっとなでる。

片付けをして、それから熱いシャワーを浴び、パジャマに着替え、

彼の隣で冷たくなった彼を触りながら今日１日の出来事を話す。

返事はあるわけがない。

でも、それでもアタシは幸せなのだ。

そして冷たくなった唇におやすみのキスをしてベッドに入る。

大丈夫、怖くない。

だって隣には永遠に彼がいるのだから。

もし、そうなったら部屋も大きい所に引っ越すし、

誰にも邪魔させないように人はアタシと彼だけの愛の空間なのだから。

人は絶対にいれない。なんてったって永遠のふたりだけの生活なんですもの。

しばらくしてから、ソファーから目を開ける。

そこには実際に何もない現実がある。

女の寂しい一人暮らしだ。

語る相手もいない。

今日もアタシが日課としている想像を超えた妄想が終わった。

さぁ、熱いシャワーを浴びることにしよう。

そしてまたあの蔑んだ目で見てもらおう。

いつの日か想像という名の妄想が現実にんあることを願いながら。

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