宵闇
蜜。
貴方は蜜のような人だといってもいい。

アタシの心をスレスレのところで立ち止まらせる。

去ろうとするとどことなく寄ってきて、アタシとの甘い蜜の時間を共有させる。

とろけるような言葉と指でアタシを甘い蜜に引き寄せて、

そして抜け出せないように体に覚えさせる。

貴方の声も指も唇も全て、アタシのものなんだって言い聞かせながら、

蜜の味を覚えさせる。

恥ずかしいことも全て。

それが俺流の愛仕方だという。

離れようとしても離してくれない。

儚さがわかってる分、アタシは防御をはって。

蜜にのめり込まないようにするのが精一杯なのに。

貴方は簡単にアタシのテリトリーにまで入り込み、だんだん貴方以外の人を覚えないようにさせていく。

簡単に、以前からそうあるべきだったというように。

それが当たり前だったそしてこれからもというように。

貴方に出逢わなかれば、ただの知らないすれちがっただけの何もない人だった。





でも、出逢った以上、アタシはその甘い蜜に静かに静かに溺れていく。

テリトリーなんか侵されてもいい。そう思うようにまで貴方はさせる。

貴方の蜜が欲しいの。

声も手も体も全て壊れてしまいたいの。

再起不能まで行ってみたい。

あの甘い味が味わえるなら、アタシの大切な何かを差し出してもいい。

甘い蜜は麻薬。一度味わえば抜け出せなくなる。

貴方はそれを自由にアタシの状況や気持ちも考えずに入れてくる人。

嫌じゃない、それが嬉しい。忘れられない味だから。

だからこそ、貴方が持っているその蜜に依存してもいい。

もし、ただのそれがただの当たり前だけの関係になったとしても、

アタシは貴方の甘い蜜を欲しがるだろう・・・。



貴方は甘い蜜な人。

アタシはそれに溺れて抜け出せなくなる人。

でも、それでいい。それでいいんだ。

アタシが満足していれば、甘く少し毒のある関係は続いていくことは、目に見えている。

貴方の甘い蜜は麻薬。

そしてアタシはその麻薬の中毒者。

そう、これはこれから先も永遠に変わらない。
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