小さな心と大きな手
母を殺したあの日。

私は、重い足を引きずるように勇輝のいる家に帰った。

《ガチャ。》
ドアを開けると家の中が静まり返っていた。
不思議に思いながら勇輝の姿を探した。

でもいない。。

外にいるのかなぁ。と思いながら自分の部屋にはいった。
どんどん時間は、進むのに勇輝の声がしない。。

おかしいなぁ。。
やっぱり不安になって下に降りた。

《なんか。。聞こえる。。》

声に耳をかたむける。

《。。。ブツ。。ブツ。。》

気味が悪い。。

でもこの声は、母の部屋からだ。
静かにドアの隙間から覗くと手に血がついてる母が暗闇の中でブツブツと何かをいいながら立っていた。

驚いて部屋の中をよく見ると勇輝が母の足元に倒れている。

『勇輝!?』

私は、慌てて勇輝の元に駆け寄ろうとしたとき、母に刃物をむけられた。

『お母さん!!何してるの!?』
そう叫ぶと母は、笑った。

『本当にあなた逹は、バかな子ね。誰に似たのかしら。』

そういって鼻で笑う。

『そんなに嫌ならなんで産んだの?勇輝は、お母さんに叩かれる度に自分が悪いって自分を責めてるよ!!なんで勇輝をいじめるの??』

私は、刃物を握りしめる母をにらんだ。

『そんな顔されても何とも思わない。ただのストレス解消よ。。あなた逹は、愛されるために産まれたんじゃない。私の道具よ。玩具。』
私は、耳を疑った。

この人は、鬼だ。

< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop