小さな心と大きな手
勇輝を見ると目と口にガムテープが貼られていた。

《勇輝が死んじゃう!!》
私は、恐怖の気持ちで勇輝のテープを剥がした。

そのとき急に身体に激痛がはしった。

《痛い!!》
お腹を蹴られたみたいでしばらくうずくまってると。。

『私の玩具に触らないで!!』
と母は、怒鳴り付けてきた。

『勇輝は、玩具じゃない!!あんたの玩具じゃない!!』

お腹の痛さも忘れお母さんともみ合いになった。

今までの怒りが頭中を何周も駆け回る。。

《なんで。なんで。私たちなの??》

部屋中に言葉にならない声が響き渡りナイフが床におちた。
もう私を止められる人は、居なかった。

私がナイフを母に向けると『あなたに刺せるの??』と鼻で笑った。

私は、少しずつ母に近づく。。
母は、私が本気と知ると急に態度を変えた。

『あなた逹を産んで育てたのは、私よ。』

『お母さん。私たちは、川に捨てられてたんだよ。』
冷たい目で言い返す。母は、震えながら言う。

『そんなの嘘よ。私が産んだの。だからナイフ捨てて。』


『私たちは、人間で玩具じゃない。私たちをいじめるのは、楽しかった?勇輝が傷ついて泣くのが面白かった??』

無表情で問い詰めると。

『ごめんなさい。もうしないわ。やり直すは、あなた逹と!!おねがい。』

その言葉に安心してナイフを捨てようと思った時、母は、ナイフを奪おうと抱きついてきた。

『本当にバかね。あなた逹は、私に勝てないのよ。ふ、ふ、ふ。』

本音が見えた。
《この人がいたら私たちの幸せは、ない。。いつか殺される。。》

私は、私を止められなかった。。

《勇輝だけは、、勇輝だけは、幸せになるの!!》

母の胸にナイフを深く刺した。息がなくなるまで。。

そのとき勇輝の叫び声を聞いた。

《勇輝が生きててくれた。。》


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