小さな心と大きな手
さっきまで嵐だった家のなかは、静かで血だらけの母と過ごす奇妙な時間。


私は、放心状態の勇輝を強く抱きしめてた。
夜中だから家中が真っ暗で。
月の灯りだけ二人を照らしてる。

弟の勇輝は、6コ年が離れていて11歳の小学5年生。
6コも離れてるけど。。仲良しだった。

すこし男のくせにおしとやかで、クラスの友達にいじめられる。
最近のいじめは、陰湿で私が勇輝を守る役目。

でもかわいい弟。。

真っ暗な部屋に赤色がまじりだした。
今度は、外が嵐の様に騒がしくなる。

ウーー。。。

サイレンの音が鳴り響く。
近所のオバサマ方が夜中なのにペチャクチャ話を始める。

ピンポーン。

チャイムが鳴り響いて警官と救命隊が慌ただしく入ってきた。

救命隊が母のもとへ駆け寄ったがグッタリしている母を診て首を横に振った。

「殺したのは、私です。。」

力強い声で名乗り出た。

「君を署まで連行します。」

大きく頷いて小さな手を差し出した。

両手に手錠をかけられ素直に従う。

後ろから勇輝の泣き叫ぶ声が聞こえた。

「お姉ちゃんを連れてかないで!!一人にしないでよぉ。。」


でもその叫びは、野次馬の声とサイレンの音がかき消していった。。


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