雪の足跡。
「おやおや、えらく早起きさんだな」

私は暖炉に薪を入れ笑いながら猫に話しかけると、ニャアと鳴いた。

どうやら腹が減ったみたいで、足元をウロチョロとした。

昨日よりも少し温めにしたミルクにパンを浸してやると、嬉しかったようでまたニャアと鳴いた。

「いやいや、ところでほれ、名前は無いのかい?」

そう聞くと不思議そうな顔をしたので思わず笑ってしまった。

「名前が無けりゃ、お前さんを呼べないな」

そう言うと少し大きな声でニャアと鳴いた、少しからかいすぎたかなと思ったが、猫が人間の言葉わかるのかどうかすら怪しい。

この猫はわかっていそうだし、どれ、試してみるか。

ふと窓辺に座ると雪が降っていた、どうりでここ二、三日冷え込んだわけだ。

「おいでんな、雪が降ってきたよ」

そう言うと猫は小さな声でニャアと鳴き身体を丸くした。

猫さんよ、お前も冬が嫌いなんだな、いやいやアレは私の思い込みだ。


「ルーナ」

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