雪の足跡。
爺さんが悲しいような優しいような声でそう呟いた。

私のことかしら?

不思議とそう思い、爺さんの方へ歩いて行くと、爺さんは私を抱き抱えた。


「私はルーナ?」

爺さんのフワフワの白髭に頭を擦り寄せて聞くと、爺さんは私の狭い額を撫でた。

「春になるまで、こうして窓から雪を見よう、なあ、ルーナ」

「ええ、いい考えね」

爺さんは切ない顔を窓に向けて、私は顔を爺さんに向けて、約束を交わした。






交わしたはずなのに。


< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop