雪の足跡。
ある日、まだ雪が積もる寒い日。

爺さんは私を置いて、出かけたまま帰ってこなくなった。

「ルーナ、待っておれや」

そう言うといつもと違う服を着て、白髭にクシをとかして、綺麗なお花を沢山持って、爺さんは私の頭を二回撫でると、雪の積もる道を歩いて行った。

夜になっても帰ってこなくて、私が家中をウロウロしていた時、ある物を見つけたわ。

若い爺さんと綺麗な女の人が照れ臭そうに寄りそっている色褪せた写真、そして今よりほんの少し若い爺さんと優しそうな婆さんの写真。

写真の後ろには何か書いてあったけれど、私には読めない。


< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop