雪の足跡。
「どれ、寒かろう」
なるべく優しく自分を包んでいた毛布で、白い猫を包む。
一瞬は驚いた顔を見せたが、しばらくすると気持ち良さそうに眠りについた。
「ほう、大人しい猫だ」
よほど寒かったのか、それとも毛布が気に入ったのか、猫は腕の中でクルクルと丸まった。
家に入り、猫を暖炉の傍へ置いてやると、気持ち良さそうに身体を伸ばした。
「しばらく置いてやるかな」
猫用にミルクを温め直しながらそう呟いた。
それにしても綺麗な猫だ、全身が美しい白で瞳が暗いブルー。体つきは小ぶりで、顔も手もさほど大きくない。
「肉球はどれどれ、薄い桜色か」
前足をチョイと摘みながらそういうと、「うー」と小さく唸ったのですぐに手を離した。
また怒られると厄介だと思い、猫から少し離れたところの椅子に座り観察した。
しばらくすると猫は目を開けた。