コイシイヒト
周りには沢山の友達がいて、沢山の会話や笑い声があった。
それなのに健史と私の空間だけ、すっぽりと別世界にいるようだった。
視界の中に健史はいないのに、健史の存在を近くに感じてドキドキしてる。
わわっ――!!
2分後、手元のケータイが光り小さく震えた。
返信が来るとわかっているのに、心臓が壊れるくらい大きく震えた。
『一緒に帰ろ』
その文字を、わたしは瞬きをせずに見つめた。
すごく嬉しかった。
けどね、
同じ部屋にいるのに健史は遠くて、
離れているのに健史は近くて、
視線を合わせない会話は、かなり心臓に悪かった。