コイシイヒト
予想外の展開。
「ねえ~、行こうよ~!」
酔って上機嫌の沙耶を前に、言葉が見つからないわたし。
先に言葉を見つけたのは健史だった。
「なあ、達也!」
「あ?」
「沙耶も連れてって」
「えっ、俺眠いから帰るよ」
歩き始めてた達也は、そのまま家路へと向かった。
残された健史とわたし、
沙耶と数人の友達。
仕方ないって苦笑いを見せた健史が、「行くかぁ」とわたしに言う。
頷いたわたしは、それほど落ち込んでなかった。
わたしは健史が居れば、どこだって良いんだ。
昔は二人きりになりたいって強く思う事が多かったけど、今は違う。