コイシイヒト
戸惑い
沙耶たちと楽しい時間を過ごしている中で、
胸のドキドキが消えない。
さっきから……健史、近いよ。
体が触れないように座ったはずなのに、健史の左半身がわたしの右半身に触れてる。
みんなと楽しく喋ってる中で、
健史の温もりに染まっていくわたしは、嘘をつくより器用な人間なのかもしれない。
「夕実、さっきの微妙って何?」
「え……」
健史の顔が近すぎて振り向けない。
「微妙……は微妙だよ……」
「何だよそれ」
「だって、微妙なんだもん」
健史へのドキドキと、『微妙』の中身を話す事に戸惑ってしまう。