コイシイヒト



「今日はちゃんと家まで送るから心配しなくていいよ」

「う……うん」


別に心配なんてしてないよ……。

胸の中で呟くわたしに、健史が囁いた。


「けど、次は送り狼になるから」



顔が一気に紅潮した。


ないない! 健史の冗談だよ。

そう心で呟くわたしは、本当は心の奥で喜びを感じてた。


『次』って言うことは、またいつか会えるんだって……。




頭ではわかってる。

健史の言葉を鵜呑みにしちゃいけない。


けどね、胸の奥が勝手に喜ぶんだ。

健史の言葉ひとつひとつに反応してしまうんだ。





< 25 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop