コイシイヒト
「今日はちゃんと家まで送るから心配しなくていいよ」
「う……うん」
別に心配なんてしてないよ……。
胸の中で呟くわたしに、健史が囁いた。
「けど、次は送り狼になるから」
顔が一気に紅潮した。
ないない! 健史の冗談だよ。
そう心で呟くわたしは、本当は心の奥で喜びを感じてた。
『次』って言うことは、またいつか会えるんだって……。
頭ではわかってる。
健史の言葉を鵜呑みにしちゃいけない。
けどね、胸の奥が勝手に喜ぶんだ。
健史の言葉ひとつひとつに反応してしまうんだ。