コイシイヒト
「夕実、今度連絡するからケータイ教えて!」
お店の出口で止められたわたしは、沙耶のケータイのアドレスを赤外線で受信。
「こっちに帰ってきたらまた会おう!」
「うん!」
沙耶と二人で話してると、右手の人差し指に何かが触れた。
え……指……
健史……?
触れたのは、隣に立つ健史の指だった。
沙耶に微笑んでるわたしの指に、健史の指が絡んでくる。
その事に全く気付いてない沙耶を余所に、わたしの胸は凄く高鳴っていく。
沙耶に気づかれたらどうしよう……。
健史の指先に力が加わり、わたしの指は逃げられなくなった。