コイシイヒト
高鳴る想い
店の外は、ライトが消えて真っ暗だった。
足場もまともに見えない暗闇の中で、健史の指先がスッと解けた。
あ……。
心の奥にあった小さな灯が消えたような気がした。
だけどその一瞬の後、消えた健史の指先は、懐かしい感触を蘇らせてくれた。
学校帰りの恋人繋ぎ。
懐かしい……な。
けど……けど……。
高鳴る鼓動を感じながら、これはいけないことだとわかってた。
本当なら今すぐ解かなきゃ。
「やめて」って言わなきゃ……。
だけど、どうしても言えない。