コイシイヒト
「だめ……」
「……だめ?」
「うん……」
わたしの言葉の後、健史は服の中にあった手を出し、わたしを抱き締めた。
「ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「だって……」
言葉が詰まった。
優しく抱き締めてくれる健史の胸の中で、涙が零れそうになる。
こんな事になったのは、全部わたしのせい。
わたしが弱いから、幸せな生活を送ってた健史を巻き込んだんだ。
健史の幸せを、壊したくない。
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