コイシイヒト



「大丈夫か?」

「……うん」


健史の腕の中で、何度も呼吸を整えた。

そして、口に出来る想いを言葉にした。



「わたしね、健史の事大切だよ」

「俺なんかの事が?」

「うん。だから……先に進めないよ」



少しの間の後、

健史がふふっと笑ってわたしを抱き寄せた。



「俺、夕実に幸せになってほしいって思ってる」



健史の腕にぎゅっと加わった力が、健史の想いに思えて嬉しい。


「わたしも……。思ってる」





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