コイシイヒト



本当はね、

最後なんかにしたくない。



またいつか――

そう願ってしまうんだ。





重なる唇の隙間から、健史が声を出す。



「ねえ、夕実……」


「……ん?」


「夕実……」





名前を呼ばれるたび、

切なくなる。



抱き締められるほど、

恋しくなる。




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