コイシイヒト
同窓会の会場となってる居酒屋は、実家から歩いて10分程の場所。
秋へと変わり始めた19時の空は、既に暗く星が顔を出し始めていた。
わぁ……なんだか緊張してきちゃった。
居酒屋の看板が見え始めると、心臓の音が小刻みに大きく震えだした。
クラスの3分の2くらいが参加するって言ってたっけ。
こんなに緊張するなら、麻衣と一緒に来ればよかったな……。
一人でお店に入る勇気がなくて、麻衣の携帯を鳴らしてみる。
何度目かの機械音の後、留守番サービスへと繋がってしまった。
ああ、もう一人で入るしかないかぁ。
一度大きく深呼吸して入り口の扉に手をかける。
扉を開こうとした瞬間、懐かしい声が後ろから鼓膜を揺らした。