短いの【ショート集】
ある星に驚異の頭脳を持つ一人の天才科学者が居た。
星は未だ発展途上にあり、便利で豊かな暮らしには程遠い状態だった。
しかしその科学者は、ある日を境に人々の想像しうる便利で豊かな暮らしを自らの発明によって次々叶えていった。
科学者の名は『エジンソ』
ある者が言った。「日が落ちても明るかったらいいのにな」
エジンソはそれを聞き【電気】を発明した。皆は夜でも灯りの下で楽しく暮らす事が出来るようになった。
また誰かが言った。「遠く離れていても話が出来るといいのにな」
エジンソはそれを聞き【電話】を発明した。皆は普段会えない遠くの人とも会話する事が出来るようになった。
またある者は、「歩かずとも遠くまで移動出来たら楽なのに……」そう言った。
エジンソはそれを聞き【自動車】を発明した。皆は短時間で様々な場所に移動する事が出来るようになり、行動範囲が広がった。
それ以外にも【飛行機】や【機関車】、【ラジオ】【ヒーター】、【冷蔵庫】【ウォシュレット】、【全自動洗濯機】【薄型ノートパソコン】【液晶プラズマテレビ】【ブルーレイ】【新型インフルエンザワクチン】等、多種多様な素晴らしい発明品を世に排出して行った。
しかしエジンソは発明に勤しむ際、決して誰も部屋には入れなかった。
「発明の間は部屋には絶対に入らないで下さい」そう言って扉を閉めるのだ。
助手のワトンソはある日エジンソを讃え、そしてある問いかけをした。
「素晴らしい、あなたは天才だ。一体どうすればあんなに発明が出来るのか教えて下さい」
エジンソは「フフフ」と笑い何も言わなかった。
しかし気になってしかたがないワトンソは、ある日とうとう発明中のエジンソの部屋の扉を開けてしまったのである。