そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
林檎の焼ける甘い匂いが部屋の中に充満する。彼は少女を自分の部屋に通すと、本当にアップルパイを作り始めた。
話を聞いてくれる為の只の口実だと思っていた少女は、完全に話掛けるタイミングを逃し、勧められたソファに座って待つしかなくなった。
「あの……」
「何だ?」
言葉自体の持つ刺々しさはなく、逆に手慣れた感じでペティナイフを扱う様に柔らかささえ感じる。
少女は自分の置かれた状況さえ忘れて、彼に見入ってしまった。
「男が料理をするのはそんなに珍しいかね?」
だから、彼に逆に問い掛けられた時にとっさに言葉が返せなくなってしまった。
「あっ、いえ……。すいません」
顔が赤くなっているのを感じる。何て綺麗な人なんだろう。
少女は、自分から声を掛けたのを忘れて黙りこくってしまう。
「クスッ……」
その様子を楽しそうに見てから、彼は残った皮でアップルティーを作るとカップに注ぎ少女の前に置いた。
「一口飲むといい。気持ちが落ち着く筈だ」
向かいに座った彼に言われるままに少女はカップに口をつける。甘い……、甘い香りに心が癒されていく。
「名前は?」
「ニナ……、ニナ・ハミルトン」
「ベリルだ」
気持ちが落ち着いてきた所でニナは漸く、先程助けられた礼を言っていない事に気づいた。
「あっ、あの……すいません。先程は助けて頂いて」
「礼には及ばんよ」
話を聞いてくれる為の只の口実だと思っていた少女は、完全に話掛けるタイミングを逃し、勧められたソファに座って待つしかなくなった。
「あの……」
「何だ?」
言葉自体の持つ刺々しさはなく、逆に手慣れた感じでペティナイフを扱う様に柔らかささえ感じる。
少女は自分の置かれた状況さえ忘れて、彼に見入ってしまった。
「男が料理をするのはそんなに珍しいかね?」
だから、彼に逆に問い掛けられた時にとっさに言葉が返せなくなってしまった。
「あっ、いえ……。すいません」
顔が赤くなっているのを感じる。何て綺麗な人なんだろう。
少女は、自分から声を掛けたのを忘れて黙りこくってしまう。
「クスッ……」
その様子を楽しそうに見てから、彼は残った皮でアップルティーを作るとカップに注ぎ少女の前に置いた。
「一口飲むといい。気持ちが落ち着く筈だ」
向かいに座った彼に言われるままに少女はカップに口をつける。甘い……、甘い香りに心が癒されていく。
「名前は?」
「ニナ……、ニナ・ハミルトン」
「ベリルだ」
気持ちが落ち着いてきた所でニナは漸く、先程助けられた礼を言っていない事に気づいた。
「あっ、あの……すいません。先程は助けて頂いて」
「礼には及ばんよ」