そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
「断れば?」

「多くの人間がその娘を探している。逃げるのは無理だ……」

ベリルは話す男の背中を踏みつけると、両手の親指をインシュロック(結束バンド)で後ろ手に結んだ。

「それだけ聞いたら十分だ。ニナ、部屋を出るぞ」

二人は部屋を出ると、アパートの裏手に止めてあったピックアップトラックに乗り込む。

ベリルは、車を走らせるとすぐに携帯電話のカメラでニナを撮った。

いきなり写真を撮られて目を白黒させるニナを横目に、彼は携帯電話を車内のスリットに差込、操作する。しばらくすると車内のスピーカーから、男の声が聞こえてきた。

『おいおい、休暇中だから電話を掛けてくるなとか言ってなかったか?』

「事情が変わった。ルカ、その写真の娘について分かる事を調べてくれ。名前はニナ・ハミルトン」

『少し時間をくれ』

その様子をニナは息をのんで見つめる。程なくして再びルカの声が聞こえてきた。

『このお嬢ちゃん一体何したんだ? その国中に手配が回っているぜ。ご丁寧に懸賞つきだ』

「依頼元は? 後近くに応援を頼めそうな仲間はいるか?」

『駄目だな。巧妙に仲介を複数噛ましている。調べるには時間がかかる。その国だと……、一番早いのは泉だな』

泉と聞いた瞬間ベリルの眉間に皺がよる。

「却下だ。休暇中にみたい顔ではない。依頼元は継続して調べてくれ」

『わかった。一人で大丈夫か?』

「今のところは何とかな」




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