そして悪魔は二度微笑む【コラボ】

蓮城博士は、シュタイナー邸の一室を借りると男を椅子に縛りつけた。

「一体どうしようってんだ！　俺は何もしゃべらないぞ」

陳腐な物言いに思わず彼女は苦笑する。

そして携帯電話のカメラで男を撮影すると、モバイルPCと接続。キーボードを叩き始めた。

沈黙の中、カタカタとキーボードを叩く音だけが鳴り響く。男がその沈黙に堪えきれなくなって口を開こうとしたその時、彼女の口が開いた。

「ジジン（仏、対テロ特殊部隊通称）のデータベースにいたか……」

「何を言って……？」

「ピエール・リアド、35歳。元外人部隊所属……。服役は……？　三年だけか……」

「何で俺の名を！」

男が叫ぶ。それを嘲笑うかのように彼女は続ける。

「ほう……、母がイタリアにいるのか？　肉親は大切にしないとな」

「ママンの事まで!?　誰か俺をハメやがったのか？　チクショウ！」

喚く男を後目に、彼女は腰の後ろからリボルバーを取り出すと、シリンダーをスイングアウトさせる。

「ところでピエール君。先程逃げた君の仲間は、増援を連れて戻ってくると考えられる訳だが、そうすると私達には時間がない」

そしてカートリッジを取り出し、これ見よがしに一つだけ装填するとシリンダーを勢いよく回転させた。

「だからだ……さっさと依頼主を吐け。報酬はピエール君、君の命だ。悪くはないだろう？」

撃鉄が引き起こされ、ターゲットサイトがピエールの眉間に合わせられる。

「だっ！　誰が……」

ガチンッ！