そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
AHー64Dのコクピット内で、二人のパイロットは口論を交わしていた。

「おい! さっさとやつらをどうにかしろ! こっちもそれ程持たないぞ」

言われたコパイロットは、後部座席に座るパイロットに怒鳴り返す。

「言われなくてもわかっている! システムがおかしいんだよ! レーダーで捉えた目標を優先出来ない」

「どうせ敵は人間だけなんだ! チェーンガンだけで充分だろ!」

爆破によって、システムに異常をきたした。

システム関係に異常をきたすウイルスが仕込まれていた、などとは思いもよらず、コパイロットはそう判断をして、手動で敵を捉えにかかる。

激しい揺れのなか、コパイロットはヘッドマウントディスプレイに映し出された敵とおぼしき傭兵にレティクル(照準)を合わせ、迷う事も無く引鉄を引く。

チェーンガンが火を噴いた。
地面に着弾する度に、人の高さ程の土煙が舞い上がり、辺りを覆う。

「避けられた!?」

揺れで照準がぶれる。その波に合わせてベリルは、転がりながら銃弾を避けた。

至近距離での銃撃に敵集団の一部が逃げ出す。

彼はそれを追いかけて、置かれたままになっている目的の武器を手に取った。

ヘリは上手く姿勢制御が出来ないのか、ベリルの方を向く事なく右往左往している。

「チェックメイト……」

彼の口から出た言葉に合わせて、ロケットランチャーが火を噴いた。

研究所前の広場に爆発の花火が上がる。

まともにもう一つのエンジンに直撃を受けたヘリは、なすすべなく地面に叩きつけられた。

AHー64Dの安全性は高い。墜落してもこの高さなら死ぬ事はあるまい。

ザザッ……。そんな事を思ったベリルの耳に、雑音が聞こえてくる。

「……またか」

聞こえてきたのは彼が予想した通りの声。

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