そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
「ヘリ横のコンテナ……?」

あの箱には、ロケットランチャーしか入ってなかった筈だが……。

地上を制圧する上で優先しただけか? だが、このタイミングでその指示は些か不自然過ぎる。

しかし、その思考は研究所正面に陣取る敵が見えた事で、打ち切らざるを得なくなる。

彼女は腰の後ろからリボルバーを取り出す。

続けて白衣のポケットから直径5センチ程の玉を取り出すと、彼等に向かって投げる。

閃光が迸る。そして、目をやられた彼等の間を突っ切った。

奴が後ろからついてくる筈だ。無駄玉は奴に使わせればいい。

一本道の通路をひた走る。途中、二人程敵の傭兵を見かけたが、急所を外して撃ち抜いた。

程なくして彼女の目の前にT字路が現れる。

見取り図段階で当たりをつけた場所は二カ所。

右手は研究所の中枢、左手はジム・ハミルトンが捕らわれていると考えられる場所への道。

さて、ここは人命を優先すべきか? しかし、あの研究をアイン・ビルダーが持ち逃げするのは容認出来ない。

逡巡する彼女の耳に男の声が届けられる。

「単独先行は、気に入らんな」

後ろを振り向くと、金色の髪とエメラルドの瞳が印象的な青年。ベリル・レジデントが立っていた。

「遅かったなベリル・レジデント」

「誰かが雑な倒し方をしていたのでね。応急処置をしていたら遅くなった」

多分、本当なのだろう。彼女は、その透き通るような瞳を見てそれを確信した。

「すまなかった。気をつける。さて、ジムの方は任せていいか?」

「いや、ジムの救出には後から来る仲間に行ってもらう。急いだ方がいいな、先ほどから敵の行動がおかしい。まるで……」

刹那!

T字路の中心で二人は共に回転する。


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